【内閣府・消費者委員会】「吸湿発熱素材に用いられるアクリレートの水分率の変更と指定用語化」(9/12消費者委員会)

アクリレート繊維は表題にも記載させていただきました通り、ブレスサーモⓇやヒートテックⓇの商標が著名な吸湿発熱素材として用いられることが多い繊維になります。

【改正内容】
・繊維規程 別表第三 「アクリレート繊維」を追加し、水分率「30.0%」を追加。
・繊維規程 別表第六 「アクリレート繊維」を追加し、繊維の指定用語として「アクリレート」を用いる。

・別表第六(第六条関係)において、指定用語にない合成繊維は、「合成繊維」の用語にその繊維の名称を示す用語又は商標を括弧を付して付記する(ただし、括弧内に用いることのできる繊維の名称を示す用語又は商標は一種類に限る。)となっておりますでの、従来の繊維名の表記からは変更になります。
・従来の表示 「合成繊維(アクリレート)」 → 令和7年1月1日から 「アクリレート」
・従来の水分率 0.0% → 令和7年1月1日から 30.0%
※5%程度の投入割合であれば、5%刻みの表示における混用率結果が従来の表示の許容範囲(5%刻みの表示であれば±5%)に入ると考えられます。しかし、20%程度を超える高混率の場合、5%刻みの表示における許容範囲(5%刻みの表示であれば±5%)を超える恐れがあるため、指定用語への変更だけでなく混用率数字の見直し・確認等も行った上で適切な表示に努めて下さい。

 ※混用率試験結果の一例

改正前 改正後
綿95.0% 合成繊維(アクリレート)5.0% 綿93.6% アクリレート6.4%
綿80.0% 合成繊維(アクリレート)20.0% 綿75.5% アクリレート24.5%

【今後の予定】
令和7年1月1日:改正告示の施行・公布
 施行・公布から令和7年12月31日までの1年間は経過措置が設けられ、従前の表示も可能とのことです。
(上記の時期は予定となっておりますのでご留意ください。)

【改正経緯】
・アクリレート繊維は、合成繊維の一種で、高い水分率を持ち、吸湿発熱性能を有する繊維です。繊維規程上では、アクリレートの水分率が定められていないことから、「その他の人造繊維」に該当し、水分率「0.0%」が適用されるため、実際の水分率と大きく乖離しておりました。
・水分率が異なることにより生じる問題点として、繊維規程で義務づけられている組成表示における【混用率】があります。
・混用率は、繊維の公定水分率*を加味して計算されます。(*公定水分率は標準状態における水分率を指します。)
・アクリレート繊維が含まれる繊維製品の場合、公定水分率が実態と乖離しているため、本来含まれるはずの水分率を除いて混用率を計算することになります。
それにより、アクリレート繊維の混用率は、実態より小さい数値を表示せざるを得ない状況となっておりました。
・今回の改正により、実態に即した表示を行うことが可能となり、商取引上での混乱(水分率が異なる)の解消、消費者に対して正確な組成表示を提供できるようになることが期待されます。

詳細は、消費者委員会のHPをご参照ください。
https://www.cao.go.jp/consumer/iinkai/2024/443/shiryou/index.html